●施設アイドレス● ●造船所● |
||||||||||
|
||||||||||
![]() |
||||||||||
イラスト:一井号太 | ||||||||||
●設定文 |
||||||||||
●FEG国立造船所 ○特徴 FEG国立造船所は、今後の戦闘における船舶の重要性が示唆される中、FEG所属の技師、一井号太が主任、原素子女史がスーパーバイザーとなって建造された。 位置的にはFEGに存在する地下遺跡を利用し、ほぼ全ての機能を地下でまかなっている。 これは敵航空機の空襲に対する隠蔽、防衛に重点をおいたためである。 船舶の建造過程はもっともオーソドックスなブロック建造式を採用しているが、この造船所の特徴はブロックの輸送方式である。 各ブロック製作所は全て国内地下に線形に配置され、縦横に専用の地下鉄網で連結されている。物理的にも規模的にも超巨大なベルトコンベア式とでも言うべきだろうか。 一つの船舶を造るのに必要なブロック製作所と最終チェック施設、海上への移動エレベータをあわせて「ライン」と呼び、このラインが通常稼動用のメイン3本、緊急時使用のサブ2本のあわせて5本が設置されている。 この方式による最大のメリットはシステムの堅牢性にある。 仮に敵の攻撃によって一部のブロック製造所が潰されたとしても、地下鉄網が形成されているため生産能力が0になることがない。それを越えてラインが一つつぶれた場合においても、各ラインスタンドアロンで生産する前提なので問題ないと言えよう。 各生産ラインで製造された船舶は厳しい最終チェックを受けた後に、海上エレベータによって進水することになる。 /*/ 「はーい、というわけでここが船の部品を作ってる工場ですよー」 微妙に疲れの感じられる声。 いつの間にやら国立小学校の遠足案内役を仰せつかった小鳥遊である。 ここはFEG造船所のラインA、そのブロックの一つである。 「おー、でっけー。メカだぜメカ!!」 「こことおなじような工場がこの国にはいくつもあって、その全部が地下鉄で繋がってるんですよ」 「なんでそんなめんどくさいことしてんの?」 「そうですね。でも一人で全部作るより、みんなでパーツ作って持ち寄ったほうが早いでしょう?そういうことです」 ずいぶんなたとえだが、実際にそういうことである。 ついでに言えば、組み立てる場所は組み立てるだけ、にしておけばどんな船舶でもドックで建造することが出来る。 「そしてここでは機械と人が協力し合って船を作ってます」 「全部機械でやったほうがいいんじゃないのー?」 実際、今も稼動するこの工場では昔ながらの職人風の人員、や猫員が多く見受けられた。 「そんなことはありませんよ。人が見えないような細かいところを機械がやって、機械が判断できないようなところを人がやる。これは人同士でも同じなんですけどね」 造船所建造時には全自動化も提唱されたが、結局のところそうはならなかった。 人が出来ないことを機械がやるように、機械に出来ないこともある。それは目に見えないかもしれないが、人がそれをやる意味が必ずあると信じられたのだった。 子どもたちはあまり意味が分かっていないようだったが、それでいいと小鳥遊は思う。 それでも伝えるのが大人の一番大事な仕事だ。 そして、二番目に大事な仕事は。 「さてみなさん、私の話ばかり聞いていてもおもしろくないですよね?」 「えー、あー…うん!」 「正直でよろしい。では今日は特別に地下鉄ツアーといきましょうか。先生には内緒ですよ?」 途端に目を輝かせて浮き足立つ子どもたち。 そう、大人の二番目の仕事は、子どもを笑わせることだった。 「さあさあ、行きますよ。みなさん準備はいいですか?」 『はーーーーーい!!!』 /*/ ○建造経緯 実際に造船所を建造するにあたって、その方針について大まかに2つの案があった。 一つは、安定性を重視してごく普通のブロック建造式造船所を建造しようとするもの。 もう一つはFEGの技術力を活かして、新しいシステムによる造船所を建造しようと言うものである。 この問題を解決したのは、FEGの最速開発男こと、一井号太であった。 「じゃあ両方やりましょう」 「安定性はもちろん大事ですので、基本路線はブロック式で問題ないと思います」 「しかしそれだけではFEGが大国である意味がない。そしてFEGが大国たる所以は国土が広いからでもお金があるからでもありません。我々が贅沢に使うべきは人材です。優秀な人材が多くいるのなら、その分冗長性を高める余地を増やすことが出来ます」 というわけで資金と人材を湯水のように使い、他国から「あの金満国家め」と言われるような造船所の建造が始まったのである。……しかし、上記の発言で造船所建造委員長に就任した一井には、大きな試練が待ち受けているのだった。 /*/ 「えーと…このブロックの製造はここでまかなうとして、人材が…」 まだブルーシートで囲われた、ブロック製造所の一つ。 その床にあぐらをかいて設計書とにらめっこする男が一人。 その名を一井号太といった。 「ああ、メカの開発がしたい…!でもこっちの指揮しないと…」 「あら、もう音を上げてるの?」 「…へ?」 そこに現れたのはなんと、藩王夫人の原素子その人であった。 「は、ははっははははらさん!!な、なんでこんなとこにいらっしゃいますのですのでしょうか!?」 「あ、私今回のプロジェクトのスーパーバイザーになったから♪」 我らが原さんは整備の神様であるからして、この役職につくのは当然であった。 「そ、そんなバカな…!こんなに幸せでいいんですか俺!」 感涙に咽ぶ一井である。 彼は原さんと是空さんが結婚したときに脱藩しようかと考えたほどの原さんファンであった。 「で、一井くん」 「はいなんなりと!!」 「A-8ブロックだけど、ここはもうちょっとなんとかならない?もうちょっと人員がいないと話にならないわ」 「は、はい。ですが他もかつかつでして……」 「……なんとかならない?」 「余裕です余裕! 要は人が必要な部分の割合をメカのスペックアップで補えばいいわけです! A-8に増員、かわりに他の工作ロボのスペックアップをします!!」 技術屋としての矜持に責任者としての誇り。そしてなにより原さんへの愛が一井を泥沼着衣水泳に挑ませることとなる。 「あらそう? ありがとう」 「光栄の極みです!」 「あ、あそこのロボをスペックアップするなら同じデータを流用してD関係もいけるわよね」 「もちろんです!! イケます! イケます!」 そもそも開発はこれからするのであって、とらぬ狸の皮算用もいいところだ。 しかしながら一井の思考は 『原さんのお願いを俺が断るわけがない。ならば原さんのお願いはもう叶ったも同然。開発は成功する!』 というものだ。 そして実際、機械関係の部分の作業効率は30%アップを達成することになる。 その後も無理難題を「スーパーバイザー」からもうしつけられることになるのだが、一井は半泣きになりながらもことごとくクリアしていくのだった。 なぜならば、こういうことだ。 それでも一井号太は。 「幸せですーーーーーーーーーー!!!!!」 /*/ |
||||||||||
文章:高梨ひひひ | ||||||||||
●続々と整備される造船所&港 |
||||||||||
![]() |
||||||||||
イラスト:ヴァンダナ | ||||||||||
![]() |
||||||||||
イラスト:ヴァンダナ | ||||||||||
![]() |
||||||||||
イラスト:あやの | ||||||||||
![]() |
||||||||||
イラスト:とよのか苺 | ||||||||||
●イグドラシルに戻る● |