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工業大国であるフィールド・エレメンツ・グローリーにとってアイドレスの開発は最も得意とする分野である。
特に藩王夫人の得意分野は元々大型人型兵器であり、基幹技術に用いられるものに差こそあれ、開発に関してはお手のものと言えた。
このため、F.E.G.の工業施設は基本的に「藩王夫人のやりやすいように」作られている、と言っても過言ではないだろう。
それは具体的には整備部への豊富な人的資源の配分であったり、ちょっとばかり資材をちょろまかしても湯気を立てて追い掛けてこない警備部であったり、運送に便利な小型トラックが町中の整備ドックに配備されているという事実に現れている。
F.E.G.の工業施設は大まかにわけて2系統に分けられる――整備工場と機械化工房である。整備工場は政庁城の近くと西部港湾区に多く幻想的な外装、機械化工房は東部廃墟地区周辺に多く近代的な外装をしている。
これはアイドレスの開発に主にかかわる整備工場は大型の部品を多く搬入する必要があるからである。これらが入り交じって外面的に非常に混沌とした状態になっている地域もある。
なお、アイドレス開発に機械化工房が無関係なわけではない。機械化工房はサイバネティクスに用いられる精密技術の開発施設も兼ねており、これらがF.E.G.独自の精密電子機器の開発に非常に貢献しているのである。
整備工場は外装は政庁城に近く、中世風の幻想的な雰囲気に作られている。だが、その中身は極度に近代化された施設であり、基本的に半地下構造で施設の多くが地上に露出している。 |
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工場・工業地帯・工業に向いた地形「どこかエキゾチックな工業地帯〜幻想的な夕陽の中で〜」
画・是空とおる@F.E.G. |
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これは政庁城周辺の景色の統一性と、搬出されるアイドレスの勇姿がこの国の工業技術の代表として国民の心の支えになるように、という配慮からである。
一種の観光施設でもあるこれらの工場には定期的に社会科見学の学生が訪れ、アイドレスの製造過程、そして動作試験を見学している。この時アイドレスに憧れパイロットや整備士を志す少年少女は後を絶たない。
整備工場の内部は常に換気が行われ、乾燥している。その為結露はあまり問題にならないが、F.E.G.におけるアイドレス開発で問題になるのは砂塵であり、厳重な関節パッキングが施される。そのため悪地での稼働安定率は非常に高くなっている。
機械化工房の外装は打って変わって近代的である。これはサイバネティクスという身体に関する技術を扱う上で、手術を受ける国民に対し清潔で近代的という安心感を与えることが目的となっている。施設のほとんどが地下に埋められており、地上に露出しているのはあまり大きな部分ではない。
この構造は、精密部品を砂塵から守るという目的の他、施設の大規模化の為、地上を拡張するよりも地下へと掘り進む方向を選んだことによる。
F.E.G.におけるサイバネティック、及びサイボーグは日常の延長線上にあり、国民から親しみを持って受け止められている。月に1度の定期メンテナンスのために国内の老人が機械化工房に集う通称・敬老の日など、機械化工房は日常に根付いた施設であると言えよう。
居心地の良さのあまり、日頃から工房に入り浸る「工房中毒」などと呼ばれる社会現象すら起こっているほどであり、午前中にロビーに出向けば囲碁を打っているおじいちゃんたちがニコニコと手を振ってくれるだろう。
しかし一皮剥けばそこは軍事施設であり、最新鋭のセキュリティに守られている。機密性に優れ、不法侵入者を逃さない為の遮断装置や、有事に備えて各所に防衛施設が多数隠蔽されている。囲碁を打っている老人たちも退役軍人であることが多く、有事には普段の笑顔からは想像も付かない素早い動きで不審者捕縛に協力する。
機械化工房においては高精度のレーダーや照準器、カメラアイ、精密作業用のマニピュレーター、超小型レーザー発振器などの精密機器が開発されており、これらの技術がF.E.G.のアイドレスに与えた影響は計り知れない。特にレーダー、照準器の小型化に関しては他国の追随を許さない技術を誇っていると自認している。
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工場・工業に向いた地形・乗っているライン「対照的な近代設備/開発中のI=D【アメショー】」
画・高渡@F.E.G. |
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一般に整備工場に勤める整備員はエリート、機械化工房に勤める整備員はたたき上げの職人、というイメージが広く根付いているようだが、実体は定かではない。
ただ、整備工場に勤める整備員に眼鏡着用者が多いこと、最近のサイボーグ兵たちが体育会系のノリであること、そしてサイバネティクス職人の(極)一部がべらんめえ調で喋ること……この三点がこのイメージの一因であろうことは想像に難くない。 |
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工場・乗っているライン・工場で働く国民「開発中のI=D【アメショー】のラインで働く西国人+吏族+整備士」
画・高渡@F.E.G. |
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なお、整備工場は第一工場から順番にナンバリングされ、現状第二十四工場までが稼働しているが、この他にナンバリング外の第零工場と第百工場があると噂されている。
第零工房は政庁城地下にあり、藩王夫人が趣味にあかしてものすごいアイドレスを作っている、という噂がまことしやかに囁かれている。これを藩王に尋ねると苦笑いしてコメントを控えてしまうというから信憑性が高いのか低いのかわからない。
対して第百工場は空中に浮かんでおり、子供の遊ぶブリキのロボットのような形状をしているという。内部には高度なアイドレス生産施設が内蔵され、藩国の危機には天空から降り立って無敵のアイドレスを大量生産する、という。こちらは誰に聞いても眉にツバをつけられてしまうようなしょうもない噂話でしかない。 |
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文責・古河切夏@F.E.G. |
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番外編:アイドレス技士:一井号太の場合 |
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えをかき、むげんにコピーして
なんたいもなんたいも
きりぬいてははってをくりかえします |
きれいにきりぬくのに
ものすごくじかんがかかります
まさにてづくりです |
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以上がフィールド・エレメンツ・グローリーで行われる
アイドレス開発の一端である
各技士たちの参加、感謝する
(フィールド・エレメンツ・グローリー藩王 是空とおる)
……そしてあの人を我が国へ…… |
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